福がいなければ、いや、福がここへ来なければ…
幸は何もかも捨てて、私にこの体を貸してくれている。
死んでしまった最愛の妹が帰って来たのだから、何でも無条件で受け入れてくれる。
私は、蓮への想いを成就することだけを考えてここへやって来た。
でも、それは幸の人生を狂わせてしまうことなんだ…
福は拓巳の前で固まっていた。
幸と拓巳の事を思ったら、今の自分は二人の未来をグチャグチャに踏みつぶしてるのかもしれない。
きっと、そうだ…
「幸、ごめんな、余計な事を言ったみたいで。
俺は、幸に救われた。
今、こうして毎日学校に来れてるのは幸のおかげ。
幸が前向きな自分に変わろうとしているのなら、俺は応援するよ。
でも、頑張り過ぎて疲れる事があったら、いつでも相談に乗ってやるから」
すると、ようやくミッチーが部室に入ってきた。



