れんれんと恋するための30日



家までの道を歩きながら、蓮はさっきの話が聞きたくてウズウズしている。


「幸~、教えてよ~
教えてくれたら、何かご褒美してあげるからさ」


前を歩いていた幸は急に立ち止まり、蓮の方へ振り返った。


「じゃ、怒らないって約束してくれる?」


「それは、内容による」


「じゃ、言わない」


幸はまた前を歩き出した。


「分かったよ。
怒らないからさ、教えて」


幸は小悪魔のような顔で蓮を見る。
どういうわけだか、蓮はまたときめいてしまう。。
幸のツィンテールが上下に揺れるたび、蓮の心はドキドキした。

そんな蓮の耳元で、幸は優しくささやいた。


「幸がホールに入る時は、れんれんを厨房に入れて下さいって」


蓮は一瞬で固まった


「噓だろ? マジで? 俺は厨房は嫌いなんだ。
あんな地味な仕事やってられないし」


「ほら、怒った…
でも、大丈夫だよ。
店長も、蓮はホール担当だからそれは無理だって」


蓮はホッとした。
店長の幸の可愛がりぶりは目に余るほどだった。
そんな店長が、幸のお願いを聞いていても不思議ではない。