蓮は、幸と一緒に帰りの電車に乗っている。
「今日、バイト疲れたろ?」
隣でウトウトしている幸に話しかけると、幸はパッと目を開け横に座っている蓮に寄りかかった。
「なんで、雑誌になんて載ったの?」
「あ~、知ってたんだ…
しょうがないだろ。
イケメンな俺を誰もほっとかないんだよ」
蓮はすました顔でそう言いながら、幸の顔をわざと覗きこむ。
「バカ、アホ。
でも、イケメンだから許す」
蓮は声を上げて笑った。
蓮のつまらないジョークを受け入れる幸は、本当に可愛い。
「そういえば、バイトが終わった後に店長と長いこと話してたろ?
何を話してた?」
「言いたくない」
「え~、何だよ? マジ聞きたい」
「言わない」
幸はそう言うと、電車から降りて改札を出た。
蓮も後から追いかける。



