れんれんと恋するための30日



蓮は、元気に動き回る幸を感心して見ていた。
そして、幸はビジュアルも完璧だった。
この店のオリジナルTシャツにデニムのスカートをはき、髪は頭の高い所でツィンテールにして、赤色のバンダナを上手にまいている。

店長は、もうすでに幸のことを気に入っていた。
初日で何も分からない幸に、手取り足取り教えている。
そして、幸は蓮と同じホールを任された。

夕方の時間帯は、とにかく学生が多い。
パンケーキに力を入れているこのお店は、特に女性の客が多かった。

女子学生のグループの客が来店すると、幸は猛ダッシュで応対に行く。
そして、蓮は主婦層の客ばかりを幸によって担当させられた。
幸が若い女の子の客のオーダーを取りに行くと、「あ~、蓮君がよかったのに」とか、「蓮君、呼んでもらえますか?」とか、色々な声が聞こえる。
幸は、その都度、幸スマイルでその場を去って行く。


「幸、今日は初日なんだから、ほどほどにしとけば?」


蓮がそう言うと、幸は殺気だった顔で蓮を睨んだ。