れんれんと恋するための30日



「駅近くの“リロ・キッチン”っていうハワイアンのレストラン」


「え?
そこって、大石蓮が働いてるとこ?」


「そうだよ。
梨華、よく知ってるじゃん」


「知ってるも何も、あの店で大石蓮って言ったら皆知ってるんだから」


「なんで?」


福は“リロ・キッチン”の女子更衣室で、ユニフォームに着替えながらずっと考えていた。

梨華の話を聞いてから、先にバイトに入っている蓮の様子をしばらく見ていた。
確かに、ほとんどの女性の客は、蓮を目当てで来ている。
そして、蓮もまるでそれを喜んでいるみたいに、最高の笑顔を提供している。

理性を保って、穏やかに、おしとやかに、お客様には接しなきゃ…
福は自分にそう言い聞かせる。
こんな場所で、騒ぎを起こすわけにはいかない。



「いらっしゃいませ、こんにちは」