放課後になり、福は梨華を連れて漫画研究部を訪れた。
バイトを始めたこともあり、しばらく顔を出せないことを部長に伝えたかった。
漫画研究部に入った途端、一斉に福は皆に囲まれた。
「幸、お前どうしちゃったんだ?」
「色々な場所から、幸らしからぬ話をいっぱい聞いてるんだけど」
部員は男ばかりだった。
でも、皆、仲間意識に満ち溢れている。
「どうもしないよ。
ちょっと、見方を変えただけ。
何にでも挑戦してみようって思っただけ。
妹のためにもね…」
「福のこと?」
梨華が福の事を知っていたことに、福は驚いた。
「そう、小さい頃に亡くなっちゃったんだ。
だから、妹の分も楽しまなきゃって思っただけ」
「福は、前向きで明るくて天使みたいに可愛かったんだよね」
幸は梨華に福の事をたくさん話していた。
福はそれが何よりも嬉しかった。



