「蓮、可愛い子ちゃんが呼んでるぞ~」
クラス全員が、珍しい物見たさで幸の周りに集まってくる。
「れんれん、どこでお弁当食べる?」
幸は集まっているギャラリーが見えていないのか、ただのはバカなのか、蓮しか見えていないような笑顔で、蓮だけを見て話しかける。
「あ~、そうだな、俺の席で食べようか」
蓮は下を向いて、小さな声でそう答えた。
「幸、やっぱり私は帰るね」
梨華は、この独特な雰囲気に耐えられずに帰って行った。
福は梨華を見送ると、蓮の隣に座った。
たくさんの人が見ているのは気づいている。だけど、そんなことはどうでもいい。
とにかく、蓮と一緒にいたい、そのために私はこの世界にいるんだから。
蓮は幸と向かい合わせで、一緒にお弁当を食べた。
俺は一体何をやってんだ…
でも、拒否ができない。
これは魔法か?
「ねえ、れんれんって、佐倉透子さんとつき合ってるの?」
蓮は食べていた卵焼きを吐きだしそうになった。
「急にどうしたんだよ」
「あの綺麗な人だよね。
つき合ってるってことは、あの人の事を愛してるの?」



