水曜日は、幸も蓮もバイトが入っている日だ。
でも、今日はそれぞれに用事が入っていたため、バイト先で待ち合わせをしていた。

福はいつもより早めに店に入り、いつものユニフォームに着替えて髪をまとめた。
タイムカードを押し、身だしなみをもう一度整えて、笑顔でホールに出る。

わずかな時間だったけれど、ここで働けた事は、福にとって最高のおまけだった。
蓮を追いかけて蓮と少しでも一緒にいたくて、このリロキッチンで働くことになった。
幸の今までの生活の中で、こういう店でバイトをするということは絶対になかったはず。
福の突拍子もない行動によって、蓮の真面目に働く姿を見る事ができて、そして自分の新たな一面も発見できた。

私は働くことが好き。
今日は福にとっては最後のバイトになるけれど、一生懸命働こう。

次に幸が入った時に、皆が笑顔で迎えてくれるように…


「おつかれ」


蓮がユニフォームに着替えて、ホールに入ってきた。

蓮が来ると、一気に花が咲いたような明るい雰囲気になる。
そして、皆が蓮を待っている。
一緒に働く仲間も、お店を訪れる客達も…