れんれんと恋するための30日



道はどんどん上に上がっていくゴンドラから、小さくなる街並みを見ていた。
透子はそんな心地よい沈黙の中で、道に伝えたい想いを心の中で呟いてみる。

そして、この二人っきりの空間で、透子は心を決めた。


「道、私の話を聞いてほしい」


道は女性的な穏やかな笑みを浮かべて、透子を見る。


「もう道は分かってると思うけど、私は道の事が好き…
道が遠いフランスに行って会えなくなっても、それでも、道の事が好きだった。
道が、私の事を妹のようにしか思ってないのは分かってる。

でも、私は道がどうしようもないくらいに好き、愛してるの…」


透子には珍しく感情が高ぶり、涙が頬を流れた。
道がどういう言葉を口に出すのか、それが怖くてたまらない。


「透子…
僕がフランスでの勉強を中断してまで日本にきた理由を考えた事がある?

素直な気持ちでそれを考えれば、僕の答えは簡単に出てくると思うけど…」


透子の涙は止まらなかった。


「そんなんじゃなくて、道のちゃんとした言葉で説明して。
いつもそんな風にあやふやな事しか言わないんだから」


道は透子に自分のハンカチを手渡した。