道はゴトゴトと上へ上って行く蓮と幸を、面白そうに見ていた。
とりあえず、手には小さなスケッチブックと鉛筆を持って。
「蓮君、大丈夫かな…
多分、本当に苦手なんだと思う」
透子は、顔がひきつっていた蓮の顔を思い出しながらそう言った。
「僕は救われたよ。
透子があれを嫌いでいてくれたから」
そう言って道が指さした幸達の乗ったジェットコースターは、一番高いてっぺんで止まっている。
「落ちるぞ、落ちるぞ」
道は半分笑いながら、蓮の恐怖に震える顔を見ていた。
「道、笑っちゃダメでしょ、ちゃんと、絵を描かなきゃ…
あ~~~~」
幸は楽しそうに、前後の乗客に合わせて一緒に手を振り上げて落ちていく。
蓮は…
蓮は、目を見開いたまま固まっていた。
道は、すばやくほんの何分かで絵を描き上げた。
透子はその絵を見て、道の残酷さを改めて実感した。
蓮の絵は、目の玉は両目とも飛び出し、髪は乱れ、口からはよだれを垂らしている。
幸は地獄から這い出てきた悪魔のように、恐ろしい満足そうな顔で両手を上げている。
「道、これひどくない?」
「え? そうかな。
このまんまじゃなかったっけ?」
透子は道の顔を見て声を出して笑った。
だって、道はどんな絵でも真剣そのものだから。



