れんれんと恋するための30日



幸は、思いがけない福の言葉に驚きを隠せない。

確かに、福のために我慢することはたくさんあった。
でも、それは仕方のないこと…
それ以上に私は福を愛してたから、私が我慢すれば福は元気になるとずっと信じていた。
幸は子供の頃の自分を思い出すと、涙がとめどなく溢れ出す。
それが、何の涙かは分からない。
でも、幸は、深い意識の中で少しずつ変わっていく何かを感じていた。


「17歳の私が、ここで幸に一番してあげたい事。
それは、私のためにずっと隠してきたれんれんへの想いを叶えてあげること」


「福、それは違う」


「ちゃんと、最後まで話を聞いて…
れんれんへの想いは小さい頃って、幸が言いたいのは分かる。
でも、この何日間のれんれんを幸も見てるでしょ?

れんれんは小さい頃と何も変わってない。
私や幸の事をよく覚えてくれてるし、大切に思ってくれてる。

今のれんれんをちゃんと見てあげて…
私がいなくなっても、れんれんはずっと幸の事が好きなんだから…
ね?」


幸は福には嘘がつけないことは分かっていた。

福が死んだ時も、幼い蓮はいつも私を守ってくれた。
その先もずっと福の事を忘れないでいてくれて、私が困った時には必ず声をかけてくれた。
でも、その蓮の優しさは幼なじみ特有のものだと思っていた。