れんれんと恋するための30日



福は砂浜に座りずっと海を見ていた。
寄せては返す波は止むことはない。
こんな壮大な自然の中では、福なんて本当にちっぽけだ。

海に来てよかった…
福の心の中は、幸せな気持ちで満たされていた。
水面でキラキラ光る白い小さな波をしっかり覚えておこう。
蓮と一緒にこの砂浜を走ったことも。


「幸、そんな太陽の下にずっと座ってたら日焼けするって。
日焼け止めクリームはちゃんと塗った?」


「日焼け止めクリーム? 何それ?」


蓮は、慌てて自分のリュックの中から日焼け止めクリームを取り出した。


「幸は色が白いんだからすぐに赤くなる。
普通の人よりたっぷり塗らなきゃヤバいって」


蓮は手のひらにたっぷりの日焼け止めクリームを出し、幸の顔にべたべた塗り始める。


「れんれん、痛い、目に入ったみたい」


「ごめん、ちょっと待って」


蓮は今度はリュックからティッシュを出し、幸の目の周りを優しく拭いた。
どう見ても塗り過ぎてしまった。幸の顔は異様なほど真っ白だ。
蓮は幸の顔から首筋にかけてクリームを伸ばしていく。

顔から首元に、首元から胸元に。
ヤバい…
幸を抱きしめたい…