9月24日、この日はすがすがしい青空だった。
福は朝早くに起きて、ママと一緒にお弁当を作った。
「幸、最近、蓮君と仲がいいのね。
ママは嬉しい…
ママもパパも蓮君の事は大好きだから」
福はおにぎりを握りながら、ママを見て頷いた。
急がなきゃ、まだ水着の準備もしていない。
福は時計を見ながら、出来上がったお弁当をリュックの中に詰める。
「幸、今日は福の命日なのは忘れてない?
ママとパパは午前中にお墓に行くけど、幸はどうする?」
福の心はどんよりとした雲に覆われてしまった。
私が死んだ日を忘れるはずがない…
でも、今日は忘れる。
夢にまで見た海に、蓮が連れて行ってくれるから。
私は死んだけど、でも、今は生きている。
だから、今日だけは、自分が死んだ事を忘れてもいいでしょ? ねえ、ママ…
「福のお墓には、一人で行くから心配しないで。
それに、ちゃんと覚えてるよ。
忘れるはずないよ」
ママは寂しそうに笑った。
福はママのこの寂し気な笑顔を何度も見てきた。
ママ…
悔しいよ…
私の家族は心の底から笑えなくなってるから。
私、何で死んじゃったのかな…



