れんれんと恋するための30日



福は力なく頷いた。
福は幸のこれまでの出来事を何も知らない。


「福が死んじゃってから、幸は福の事を一切言わなくなってただろ。
だから俺はすごく驚いて、それで幸の力になってあげたいって思った」


蓮は幸を強く抱きしめた。
福を失くしてからの幸の苦悩を一番よく知ってる。


「それで一緒に叫んだんだよな。

ふく~~、いる~~?って。

幸は、ずっと、ふく~って呼んでた、泣きながらずっと…」


蓮は自分の胸で泣きじゃくる幸を見て、少し後悔していた。
やっぱりここに連れてくるべきじゃなかったのかもしれない。
こんなに明るくしているけれど、幸の中で福を失った悲しみはまだ癒されていない。


「幸、ごめん、こんなとこに連れてきて」


福は首を横に振りながら背伸びをして、蓮の首にしがみついた。


「そんなことないよ…
福の事を覚えていてくれたんだ、それだけで嬉しい…」


蓮はもう一度、幸を強く抱きしめた。
俺だって福をずっと覚えてる。
幸が福を愛したように、俺だって福を愛してたんだから…