れんれんと恋するための30日



蓮はこの後にもう一つ行きたい場所があった。
この回転寿司から100m程離れた場所に、大きな公園がある。
その公園は、蓮達が小学校の四年生の時に遠足で来た場所だ。

その公園の入口に着いた時に、蓮は幸に聞いてみた。


「小4の時の遠足でここに来ただろ?
覚えてる?」


幸は自信なさげに小さく頷いた。
蓮は幸の手を取り、強く握りしめた。


「あの場所に行ってみよう」


蓮はそこから階段を上り、幸を展望台に連れて行った。
夜景がとても綺麗だった。
元々高い場所にある公園の展望台だ。
ダイヤモンドが散らばっているように街の灯りが輝いて見える。


「ここで俺達叫んだんだよな」


「叫んだ?」


「もう、幸、忘れ過ぎだよ。
一緒に叫んだじゃん、福に向かって」


福は心臓が震えた。
福は何も知らない。


「あの日はさ、ここに着いた途端、急に霧に覆われて、展望台に来てみたら街の上に雲がかかってたんだ。
雲海みたいにすごく綺麗で…
俺達は空の上の雲に乗っかてる気分ではしゃいでた。

そしたら、幸が福がいるかもしれないって言ったんだよな。
本当に天国なのかって思うくらい綺麗だったから、俺もそんな風に思った。

思い出した?」