バイトを終わらせた二人は、リロキッチンの近くにあるファミレスで遅い夕食をとった。
「明日も幸はバイトだろ?
それも今日と同じシフトで。
実はさ、上がるの一時間早くしてほしいって店長に頼んできた」
「え? なんで?」
蓮はドヤ顔で笑っている。
「明日はクルクル寿司を食べに行こう」
「クルクル寿司?」
「回転寿司だよ。
ここから電車で10分のところに安くて美味しい店があるんだ。
幸の願いを一個ずつ叶えていかなきゃならないからさ」
幸は大きな目に大粒の涙を浮かべている。
「なんかこの間の映画を観てから、泣き虫になったんじゃないか?」
蓮は、こんな子供のような心を持っている幸が本当に愛おしかった。
「だって、れんれんが…
れんれんが、こんなに優しい人だなんて思わなかったから」
「じゃ、どんな奴だって思ってたんだよ」
「チャラ男…
だってそう聞いたんだもん」
「誰に?」
「幸に」
「バカ、ただの自問自答じゃん」
そう言って蓮は笑った。
蓮はそうやって笑うけど、本当なんだから…



