れんれんと恋するための30日



バイトを終わらせた二人は、リロキッチンの近くにあるファミレスで遅い夕食をとった。


「明日も幸はバイトだろ?
それも今日と同じシフトで。
実はさ、上がるの一時間早くしてほしいって店長に頼んできた」


「え? なんで?」


蓮はドヤ顔で笑っている。


「明日はクルクル寿司を食べに行こう」


「クルクル寿司?」


「回転寿司だよ。
ここから電車で10分のところに安くて美味しい店があるんだ。
幸の願いを一個ずつ叶えていかなきゃならないからさ」


幸は大きな目に大粒の涙を浮かべている。


「なんかこの間の映画を観てから、泣き虫になったんじゃないか?」


蓮は、こんな子供のような心を持っている幸が本当に愛おしかった。


「だって、れんれんが…
れんれんが、こんなに優しい人だなんて思わなかったから」


「じゃ、どんな奴だって思ってたんだよ」


「チャラ男…
だってそう聞いたんだもん」


「誰に?」


「幸に」


「バカ、ただの自問自答じゃん」


そう言って蓮は笑った。
蓮はそうやって笑うけど、本当なんだから…