れんれんと恋するための30日



蓮はスマホにしっかりメモををした。
幸はたまに突拍子もないことを言い出すけれど、この七つの約束も蓮にとっては理解不能だった。
でも、幸を見ていると何でもしてあげたいと思ってしまう。


「じゃ、計画を立てなきゃ。
お互いバイトとか入ってるし、学校もあるし。
ってなったら、中々暇がないよな」


幸は寂しそうな顔で蓮を見ていた。
蓮は幸が急かす九月中というところの意味が知りたかったけれど、今日はやめておく。
幸の複雑な表情から無理に聞く気にはなれないし、それに、この約束を叶えてあげることは簡単なことだから。


「れんれん…」


「うん?」


「星空を見る日は、私が決めてもいい?」


「いいよ」


「じゃ、平日の水曜日だけど30日がいい…
バイトが終わってから一緒に空を見上げたいな」


福はその日の事を考えるだけで涙が出てくる。
でも、蓮と素敵な想い出を作るためにも、絶対に泣かない。


「雨かもしれないよ?」


「雨でもいいの」


「そっか…
 了解、じゃ、その日は帰りが遅くなることをちゃんと幸の母さんに言っとくこと」


「うん」