映画が終わると、福は女子トイレに駆け込んだ。
映画の途中から涙が止まらなくて、最後の方はしゃくり上げて泣いてしまった。
蓮はずっと手を握ってくれていた。
映画を観終わった今、化粧が崩れた顔を見られたくない福は、蓮を置き去りにしてここにいる。
すると、蓮からLINEが入った。
“幸、どこ行った?”
“ごめん、トイレ”
“了解!”
福は気分が落ちている。
なんであんな悲しい映画を選んだのだろう…
愛し合っているのに別れなければならない恋人たちが、自分達に思えてならなかった。
福は真っ赤に腫れた目に軽くアイライナーを引き、化粧を直すと鏡に向かって笑顔を作る。
あれは映画の世界…
今はれんれんとデートを楽しまなくちゃ…
福がトイレを出て蓮を探していると、二人組の女の子と仲良く話している蓮を見つけた。
鼻の下を伸ばしてデレデレしている蓮は、福のことなんて全く気づいていない。
福は無言でその輪の中に割り込んで入った。



