よかった…
髪は全部下ろし毛先を柔らかく巻いて、リボンのついたカチューシャで前髪を上げた。
軽く化粧をして最後にリップをひき、ブルーのリュックを持って、福は玄関へ急いだ。
白のハイカットのコンバースを履き、もう一度玄関にある鏡で全身をチェックする。
あんなにお洒落でかっこいい蓮に見合うかどうかは分からないけれど、これが今の福の精一杯のおしゃれだった。
玄関から外へ出ると、蓮はもうそこに立っていた。
「おう、幸、めっちゃ可愛いじゃん」
蓮は慌てて出てきた幸を見て、胸のキュンキュンが止まらない。
幸ってこんなに可愛かったっけ?
短いデニムのパンツからすらりと伸びる足は、こんなに長くて細かった?
福の透き通るような白い肌は、更に日差しを受けてキラキラと輝いている。
「蓮の可愛いは挨拶みたいなものだから、信用できない。
だって、最高に可愛い透子さんとつき合ってたわけだし…」
蓮は福の隣に立ち、肩を抱き寄せて歩き始めた。
「透子は綺麗で、幸は可愛い。
俺は本当にそう思った子にしか言わないよ」
福は嬉しかった。
蓮に可愛いと言われたことより、福を愛おしく抱き寄せてくれたことが本当に嬉しかった。