「ごめん、幸、遅くなった…」


そう言って保健室に飛び込んだ蓮は唖然とした。
幸が寝ていたはずのベッドは綺麗に片づけられている。
先生も見当たらないし、保健室自体がひっそりとしていた。

マジかよ…

蓮はどっと疲れが押し寄せた。
幸が寝ていたベッドに近づき腰を下ろそうとすると、ベッドと壁の間に幸のポニーテールが見えた。


「幸?」


すると、その狭いベッドの間からドタバタしながら幸が顔を出した。


「ばれた?」


は?
このシチュエーションでかくれんぼするか?


「もう、びっくりさせんなよ…」


蓮はちょっと怒ったふりをして幸を見た。


「だって、れんれんが遅いんだもん」


蓮は隣に腰かけた幸のおでこを優しく触る。


「もう、熱はない? 歩けそう?」


「うん、大丈夫」


蓮は幸の顔にかかっている前髪を横に流す。
そして、蓮はそのまま幸を抱きしめた。