れんれんと恋するための30日



蓮はずっと幸の手を握っていた。
幸が息をちゃんとしてるのか気になって、何度も幸の口元に手をやり呼吸を確かめた。

幸、一体いつになったら目を覚ますんだよ…

蓮は幸の顔をずっと見ていると、幼かった頃を思い出した。

子供の頃、蓮は幸じゃなくて妹の福が好きだった。
病弱で、でも明るくて、福の笑顔が大好きで、蓮は福の事を笑わすためだけに、毎日、福の家に遊びに行った。
今、ここに眠っている幸が自分の中で福はちゃんと生きている、と教えてくれた。

蓮は今になって初めて気付いた。
幸のことも福のことも、本当は大好きだったということを。
特に、今の幸には、完全に惚れている。
でも、認めたくない気持ちがどこかにあった。
幼なじみという言葉に囚われて、気付くことを無意識に拒んでいた。

すると、寝ている幸の目に、涙が溢れてきた。
驚いた蓮は何度も幸の名前を呼んだ。でも、まだ、目覚める気配もない。
怖い夢でも見てるのか…
蓮は、親指で幸の涙をぬぐってあげた。

その時、蓮はひらめいた。
何かの童話で、王子様のキスで目覚めるお姫様がいた。

幸、キスするぞ、いや、キスしたい…