れんれんと恋するための30日



蓮はずっと幸の後を追って、トラックの横を走っていた。

バトンを受け取った時から、幸の顔色は普通じゃなかった。
蓮は前を陣取る応援団にぶつかりながら、無事に幸が拓巳にバトンを渡せるように、祈りながら並走した。
でも嫌な予感は的中した。
福は、拓巳にバトンを渡すと同時に倒れた。
それも意識までも失ったように。

一番先に幸に駆け寄った蓮は、救護担当の先生と一緒に、幸をおぶって保健室まで連れて行った。
ベッドに寝かされた幸は、先生達によって熱中症の手当てを受けている。


「先生、大丈夫ですか?」


蓮は、どうしても嫌な予感が拭えない。
不思議な事に、蓮の頭の中で体の弱かった福が泣いている記憶が甦る。


「脈はしっかりしているから、このままちゃんと冷やしてあげれば大丈夫だと思う」


すると、救護班の生徒が保健室に先生を呼びに来た。


「先生、足がつった人がいるのできてください」


救護の先生は幸の様子を見ながら、蓮を見た。


「君はしばらくここにいれるかな?
もし、会田さんに何かあったらこの番号に電話してほしいんだ」