れんれんと恋するための30日



福は100m走の時の心臓の異常を、今は考えないようにした。

大丈夫、毎日、拓巳と練習したんだから、体力だってちゃんとついている。

神様…
もし、神様が私の事を怒っているのだとしたら、どうか、このリレーまでは何もしないでください。
その後は、神様の言う事をちゃんと守ります。
だから、このリレーだけは、最後まで走らせてください。


パン。

第一走者の女子がスタートを切った。
赤、青、白それぞれ二組、合計六人での戦いだ。
福のチームの青組の女子は、二走者に二位でバトンを渡した。
でも、かなりの接戦で、順位があっという間に入れ替わる混戦状態だ。

福は五走者でバトンを待っていた。
四走者の男子がバトンをもらった時点で、順位は二位だった。それも、一位の走者と結構差がついている。


「頑張れ~~~」


どの学年も、トラックを囲むように応援している。
青組の四走者は野球部のキャプテンの長瀬くんだ。
長瀬くんが野球部の仲間の前を通った時、その応援の声はより一層大きくなった。
長瀬くんは一位の赤組との距離をどんどん詰めて、福の元に来た時は、ほぼ赤組と同着だった。