れんれんと恋するための30日




福は二人を見送ると、青組のテントへ向かって走り出す。

もし、私が三年生までここに居れたなら、蓮とこうやって一緒に踊れたのかな…
ぎこちなく踊っている道と透子を見ていると、羨ましくて寂しくて流してはいけない涙がまたこみ上げる。

そして、長かった体育祭も、クライマックスの最後の種目、選抜リレーだけとなった。
今、現時点の成績は、青組がかろうじて赤組をリードしているわずかな差だ。
このリレーの順位次第で、優勝するチームが決まってしまう。
青組のメンバーは、それぞれの部活のメインが揃っている中で、漫研部の福と拓巳は、異色な上に相当目立っていた。
アンカーに拓巳、その前の女子に福が走る事になり、皆で円陣を組んで掛け声を上げる。


「何があっても一位になるぞ」


リレーの選手はお互い声を掛け合いながら、それぞれの配置場所についた。
男子は一周、女子は半周を走る。福は緊張のせいか動悸が激しい。

とにかく、何事もなく拓巳にバトンを渡せますように…