れんれんと恋するための30日



福はズカズカ校庭の真ん中に行き、道を捜した。
でも、道はどこにも見当たらない。


「きっとここにいない。
だって、フォークダンスって柄じゃないから」


透子は、少し残念そうな顔をしている。
福はそれでもあきらめないで捜していると、三年生の漫研部のグループの中に道を見つけた。


「ミッチー」


福がそう呼ぶと、漫研部の先輩達が福の後ろに立っている透子を見て口笛を吹いている。


「ミッチー、一緒に踊ろうよ」


福はそう言いながら、漫研部の輪の中から道を引っ張り出した。


「幸と?」


「ううん、透子さんと」


道は包み込むような優しい瞳で透子を見る。


「このお姫様と、僕が一緒に踊っていいの?」


「うん、私が許す」


福がそう言うと、二人は顔を見合わせて笑った。


「ミッチー、せっかく日本の高校にいるんだから、いっぱい楽しまなきゃ」


福がそう言って道の背中を押した時、フォークダンスの始まりのアナウンスが流れ出した。


「じゃあね、ちゃんと手を繋ぐんだよ」