「透子さん、ごめんね。蓮と一緒のところを邪魔しちゃって」
「ううん、大丈夫だよ。
それよりどうしたの?」
「フォークダンス…
そう、フォークダンスに、透子さん、出ないかと思って」
「フォークダンス? なんで二年の私が?」
福は時間がない事に気づいて、透子を連れて走りながら事情を説明した。
「ミッチーと一緒に踊ってあげて」
「道は、そんなこと望んでないよ」
「大丈夫。
ミッチーの言葉を借りれば、こんな機会、二度とない。
せっかく同じ学校にいるんだから、楽しまなくちゃ」
透子はまだ決心がつかない様子だったけれど、そんなこと構ってられない。
もう時間がないんだから。
校庭には赤いハチマキををした三年生の中に、たくさんの青や白のハチマキが見える。
きっと、皆、好きな先輩と踊りたいと思ってる。
福は余計なお世話だと分かってはいたけれど、それでも、二人に楽しい思い出を作ってもらいたい。
だって、ミッチーはもうすぐここを去ってしまう…
それは、私も一緒だけど…



