午前の部が終わり、生徒はそれぞれの教室で昼食をとることになっていた。
そんな二年生の元へ先生達が来て、力強いエールを送ってくれた。
先生の言葉に、二年生全員が優勝を勝ち取るという一体感で団結する。
そんな状況が、福にとっては最高に楽しかった。
生きていることに感謝し、そして、ここに居させてくれている幸に、そして神様に心から感謝した。
福が拓巳と梨華とお弁当を食べていると、透子が幸を訪ねてきた。
「幸ちゃん、ちょっといい?」
透子は泣きはらしたような顔で福を呼んだ。
福は透子を廊下の隅に連れて行き、透子の腕をさすりながらさっきの道の言葉を思い出した。
「もしかして、ミッチーのこと?」
透子は小さく頷く。
「三日前に、透子の絵をそろそろ描きたいんだって言われたの。
私が黙っていると、この機会を逃したらもう僕は透子の絵を描く機会はないって。
透子との約束を守るためにここに来たのに、透子にとっては、もうどうでもいいことなのかな?って…」
透子は素直な自分に向き合う事が怖かった。
でも、もう、逃げてる場合じゃない…



