それにしても、私服姿のエレン様はカッコいい。立っているだけでカッコいい。我が国の人間国宝だ。
 いや、エレン様ならどんな格好でも似合うんだけど。なんなら麻袋に穴を開けたような服すら着こなしちゃうだろうけど! 今日のこの服装はわたしのイメージを通り越して天元突破しちゃってる。


(本当に、ありがとうございます!)


 心のなかで号泣しつつ、わたしは大きく頭を下げた。


「ご満足いただけましたか? ヴィヴィアン様に喜んでいただけるよう、屋敷や庭園、いろんなものを整えたのですが」


 そんなわたしの心情がバレバレなのか、エレン様はそう言ってニコリと微笑む。


「そうね。想像していたとおりで安心したわ」
(嘘です。本当はなにもかもが想像以上で、わたしの心と体は限界です。今にも爆発しそうです。これ以上ドキドキさせないでください。っていうかわたしのために整えたとかおそれおおすぎます! ホント、エレン様ファンサービスが過ぎますってば)

「それは良かった。ヴィヴィアン様をガッカリさせてしまったらと不安だったので、安心しました」

「そんな……エレン様ったら、大げさね」
(エレン様ったらなにを言ってるの! わたしがエレン様に対してガッカリすることなんて一生ない! 死んでもない! たとえ帝国が滅びようとも絶対にないのに!)