「そうだけど! そうなんだけど! なんか色々と申し訳なくって。エレン様に気を遣わせちゃったんじゃないかなぁとか、わたしが行ったら場違いなんじゃないかなぁとか! 服とか化粧とか! 聖地巡礼のお作法とか! そういうことも段々気になってきたし」

「ご安心ください。わたくしたち侍女一同が帝国の威信にかけ、最善の状態で今日という日を迎えられるように準備してまいりました。しっかりと身を清め、お肌のお手入れを施し、髪型、服装、化粧、香水の調合に至るまで、エレン様のご自宅訪問に相応しいベストコンディションとなっております。本当に、惚れ惚れするほどお美しいです」

「そうかなぁ……」


 侍女たちの努力についてはよくわかる。公務と推し事で忙しいなかでもわたしの肌や髪の毛がツヤツヤでいられるのは、ヨハナたちのおかげだもん。いつもめちゃくちゃ感謝している。
 だけど、元々の素材は変えられないし、エレン様と比べたらどうしたって落ちる。美しいって言われても、ねぇ……。