***


 数日後、受け取ったシフト表を元に店に行ったら、リリアンが俺を迎えてくれた。


「いらっしゃいませ、エレン様!」


 なんとも嬉しそうな表情。店に行くだけでこんな顔をされたら、もうなにも言えなくなってしまう。


(誰が喜ぼうが悲しもうがどうでもよかったはずなのに――――)


 一体俺はどうしてしまったんだろう? 周りにリリアンのような女性が少ないせいか、新鮮に感じているのかもしれない。それにしたって、自分の変化がいまいち理解できなかった。


「お席にご案内させていただきますね」


 リリアンはそう言って、前回と同じ席に俺を案内してくれる。眺めのいい特等席。二回目だからなのか、なんだかとても落ち着く。この場に自然に馴染めているような気がした。


「ご来店ありがとうございます! あの……前回は本当に申し訳ございませんでした。せっかくのコーヒーをわたしの長話で冷ましてしまって! エレン様のことになると、ついつい興奮しちゃうっていうか、自分を制御できなくなってしまうんです。おまけにエレン様、わたしの話をしっかりと聞いてくださるから……すごく嬉しくって」


 席に案内するまでずっと我慢していたのだろう。リリアンはそう言って勢いよく頭を下げる。前回も散々謝罪を受けたのに――――その様子があまりにもいじらしくて、俺はすぐに頭を上げさせた。