「我慢ができなくなってしまったんですよ。頭の中が推しを愛でる言葉で溢れかえって、身体中が熱くてたまらなくて。もっともっと、この溢れかえる愛情を表に出したい! 共有したい! 昇華させたい! これ以上は体がもたないってなったときに、いよいよじっとしていられなくなって。それで、自分の体を動かすこと――刺繍をしたり、文章化して推しへの愛を実感することにしたんです。それに、食べ物や飲み物を作って体内に取り込むと、推しを内側から愛でられているような気分になれるかな? って思ったんですよね。そうこうしている内に店を――――知り合いが店を出すことになって。せっかく魔術師団の近くに店を構えるのだし、皆さんにも楽しんでいただきたいなぁって思ったんです。あっ、ちゃんと使用の許可はとってますよ? 魔術師団は大事な大事な国家機関ですからね!」


 そう口にしたリリアンは、活き活きとして楽しそうだった。きっと刺繍をしているときも、ラテアートを作っているときも、今と同じように、とても嬉しそうな表情を浮かべているのだろう。


(見てみたいな)


 何故だろう? いつまでも眺めていられそうな気がする。俺は思わずクスリと笑ってしまった。