「ヨハナ――――か」
注文書に記載されていた名前は、とある伯爵令嬢のものだった。
けれど、伯爵家の経済状況は決して良いものではなく、こんなにたくさんの寄付ができる状態ではない。彼女の裏には絶対、別の誰かがいる。
おそらくは出稼ぎ先で名前を貸すように頼まれたのだろう――――そう考えた俺は、ヨハナという令嬢の主人を調べた。
『ヴィヴィアン・アレンドゥラ』
そう。彼女の主人――――寄付の贈り主は誰あろう、皇女ヴィヴィアン様だったのだ。
(どうして名前を明かさないのだろう? ヴィヴィアン様からだと知ったら、みんなが喜ぶだろうに)
はじめは俺もそんなふうに考えた。
だが、ヴィヴィアン様は皇女。表立って特定の機関を贔屓するのは難しいのだろう。帝国には騎士団もあるし、豊かでない領地や孤児院なども多数存在するのだから。
(そうまでして何故魔術師団に寄付を?)
このときの俺にはまだ、ヴィヴィアン様の行動原理が理解できずにいた。
注文書に記載されていた名前は、とある伯爵令嬢のものだった。
けれど、伯爵家の経済状況は決して良いものではなく、こんなにたくさんの寄付ができる状態ではない。彼女の裏には絶対、別の誰かがいる。
おそらくは出稼ぎ先で名前を貸すように頼まれたのだろう――――そう考えた俺は、ヨハナという令嬢の主人を調べた。
『ヴィヴィアン・アレンドゥラ』
そう。彼女の主人――――寄付の贈り主は誰あろう、皇女ヴィヴィアン様だったのだ。
(どうして名前を明かさないのだろう? ヴィヴィアン様からだと知ったら、みんなが喜ぶだろうに)
はじめは俺もそんなふうに考えた。
だが、ヴィヴィアン様は皇女。表立って特定の機関を贔屓するのは難しいのだろう。帝国には騎士団もあるし、豊かでない領地や孤児院なども多数存在するのだから。
(そうまでして何故魔術師団に寄付を?)
このときの俺にはまだ、ヴィヴィアン様の行動原理が理解できずにいた。