(ヴィヴィアン様と出会って、もう4年か)


 驚くほどあっという間――――そんなふうに感じられるほど、それはとても目まぐるしく濃密な日々だった。
 おそらく、そう感じているのは俺だけではないだろう。
 けれど、ヴィヴィアン様が想像する何倍も、俺の日常は彼女色に染まり、侵食され続けている。


 はじまりは4年前。俺がまだ16歳の頃――――今のヴィヴィアン様と同じ年齢だったときに遡る。


「おい、エレン。あれ、皇女様じゃないか?」

「え? ……ああ、そうみたいですね」


 当時の俺は、魔術師として働きはじめたばかりだった。
 新米の、役職もなにも存在しない魔術師。けれど、とある事件を機に、俺はヴィヴィアン様に目をかけていただくようになっていた。

 きっかけは皇城内で起こった誘拐事件。幼いヴィヴィアン様とライナス様が、何者かに連れさらわれてしまったのだ。俺は捜索部隊の一人だった。