「城内では魔法が使えないでしょう? ですから俺の家に来ていただくのが一番かな、と。俺は花を専門にしているわけではありませんが、この国一番の魔術師だと自負しています。魔法において、俺の右に出るものはいません」

「当然です! エレン様が一番です! そんなの疑いようがありません」

「ありがとうございます。ですから、俺がプリザーブドフラワーを加工をすれば、ヴィヴィアン様の望みどおり、一等美しく、一等長く楽しんでいただけるに違いありません。いかがでしょう?」


 それはあまりにも甘く、魅惑的な提案だった。
 葛藤はある――――未だにある。
 けれども、わたしの答えは決まっていた。


「行きます! 行かせていただきます!」


 だって、推しの家だもの。聖地だもの。行かないっていう選択肢はない。

 彼がどんな場所で、どんな人たちに囲まれて、どんな生活を送っているのか。外側から決して見えない実態が、屋敷の中に詰まっているんだもの。こんなチャンスを逃す手はない。何をおいても行かなきゃだ!