エレン様だ――――エレン様がわたしのお茶会に来てくださった! ――――と感動したのも束の間、このお茶会の趣旨を思い出してヒヤリとする。


「どうしてエレン様がここに?」


 まさか、ヨハナが彼を招待したのだろうか? ヨハナにちらりと視線をやれば、彼女は首を横に振った。


(だよねぇ)


 わたし至上主義で動いてくれているヨハナがそんなことをするはずがないもの。一瞬でも疑って、申し訳ない気分だ。


 それにしても、どうしてエレン様がここにいるのだろう? ここ――――エレン様のお相手候補を探すためのお茶会に。

 いや、ご本人に直接見て、選んでもらったほうが効率がいいんだけど、それにしたって唐突すぎて心の準備ができていない。改めてエレン様を見上げると、彼はそっと瞳を細めた。


「改めてお話をさせていただきたいと手紙を書いたでしょう? それで、業務の都合をつけてヴィヴィアン様のお部屋を訪ねたのですが、いらっしゃらなくて。陛下にここだとお聞きしたので来てしまいました。……招待状もいただいていないのに、申し訳ございません」

「そんな……! エレン様に謝っていただくなんておそれおおい! というか、わたしのために業務の都合をつけていただくことが既に身に余る光栄というか、エレン様ならいつでも大歓迎というか」