わたしに与えられた時間はたったの一カ月。そのあいだに皇女の夫にふさわしい男性と、エレン様のお相手に相応しい女性を見つけなければならない。
 だけど、普段どおりに公務はこなさなきゃいけないし、推し活の時間を減らしたくもない。っていうか絶対に減らさない。
 わたしの意地とプライドにかけて、全部の条件を満たしてやるんだから。


「効率重視でいくわよ、ヨハナ」

「はい、ヴィヴィアン様。既に準備は整っております」


 ヨハナはそう口にし、わたしを皇城の外へと連れ出す。
 すると、花々の咲き誇る我が自慢の庭園に、数十人の貴族の令嬢・令息達が集まっていた。
 テーブルにはお茶菓子や軽食がたくさん並んでいる。ガーデンパーティー――わたし主催のお茶会の会場だ。


「皇女様、本日はお招きいただきありがとうございます」


 わたしの存在に気付くと、みなが一斉に頭を下げる。微笑しつつ、わたしは密かに彼らのことを観察した。

 服装、立ち居振る舞い、醸し出す雰囲気――――そういったものは顔が見えずともわかるものだ。
 たっぷりと一次評価をしたうえで、わたしは集まったみんなの顔をあげさせた。