「エレンが夫になったら、おまえは幸せになれるだろう? ……違うのか?」

「それは…………」


 そんな未来、想像しちゃいけない――――と思っている時点で、わたしはお父様の質問に対して『否』と答えているのだろう。
 つまり、エレン様と結婚をしたら、わたしは絶対幸せに違いない。


 だけど、たとえわたしが幸せでも、エレン様が幸せじゃなかったら意味がないんだもの。推しの幸せはわたしの幸せ。推しの喜びはわたしの喜び。自分の幸せより、エレン様の幸せを優先したいって思うんだもの。


「――――わかった」


 呟けば、お父様は瞳を輝かせながら破顔する。


「そうか! わかってくれたのか」

「うん……わたしがこれからやらなきゃいけないことがわかった」

「は……?」


 お父様が首を傾げる。わたしはゆっくりと顔を上げた。