ヨハナはいつも、わたしがなにを望んでいるかを先読みし、それを実現してくれる。公務でも、私生活においても欠かせない存在だ。多忙な中、わたしが推し活に全力を注げるのも、彼女の働きによる部分がとても大きい。


「――――明日のスケジュールも今日のうちに調整してくれる?」


 ヨハナがくれた資料に目をとおしつつ、わたしは密かに眉を上げる。
 たった一日で、欲しい情報をここまで準備してくれたヨハナはすごい。わたしは素直に感心してしまった。


「ええ、抜かりなく」


 目的も詳細も話さなくても、わたしが言いたいことをヨハナはすぐに理解してくれる。頼もしすぎて自然と笑みが漏れた。


「さて、気合いを入れていくわよ」


 パンパンと頬を叩いて前を向く。
 それからわたしは私室を――推し部屋(自然体でいられる場所)を出て、皇女として動きはじめるのだった。