(ダメだなぁ……推し活していると皇女としてのわたしを時々見失っちゃうのよね)


 ジーンはいつも、わたしに大事なことを思い出させてくれる。

 皇女ヴィヴィアンも、
 エレン様を愛し、称え、推しまくっているヴィヴィアンも、
 どちらも同じわたしだ。

 だけど、わたしは次期皇帝なんだって――――崇めるだけじゃなく、崇められる側の人間なんだって。だから『わたしじゃエレン様に釣り合わない』っていうこの気持ちは、身内以外の人間には絶対吐露しちゃダメなんだ、って気付かされる。

 推し活をしていることだってそう。一部の人間のみぞ知るトップシークレットだもの。知られたら大抵の人間にドン引きされるだろうし、皇族としての威厳を損なう。

 わたしは少しだけ気持ちを引き締めた。


「ヨハナ、今日の午後、お父様と話す時間は取れるかしら?」

「――――もちろん、既に陛下のスケジュールは押さえてあります。それから、こちらの資料はヴィヴィアン様がお知りになりたいであろう情報をまとめたものです」

「さすが。頼りになるわね」