「ヴィヴィアン様との結婚を叶えるために、俺は手柄を立てる必要がありました。この1年、帝都を不在にしていたのはそのためです。凱旋し、陛下から褒賞を尋ねられた際に、ヴィヴィアン様と結婚したいと俺のほうから打診しました」

(御冗談を――――遠征に行かれていたことも、エレン様が大きな手柄を立てられたことも当然存じ上げています。その間の推し活費用は当然、そのほとんどを遠征支援費に充てさせていただきました。無事に帰ってきていただけてなによりです。だけど、遠征がわたしとの結婚を叶えるためっていうのは腑に落ちません)


 無言でエレン様を見つめつつ、わたしはそっと首を傾げた。


「――――もしかして、嘘だと思ってます?」

「いえ、まさか。清廉潔白なエレン様が嘘をつかれるはずがありませんもの。頭ではそう理解しているんです。ただ……納得できないというか、解釈違いに苦しんでまして」

「解釈違い?」


 今度はエレン様が首を傾げる。わたしは静かにうなずいた。