「実は……結婚について、父が大いなる勘違いをしていて、エレン様には大変申し訳なく思っているの」

「大いなる勘違い?」

「ええ。実は……ごめんなさい! 父はわたしがエレン様に熱狂するあまり、結婚までもを望んでいると勘違いしていたんです。そのせいでエレン様がわたしとの結婚を強要されてしまうなんて…………本当に、なんてお詫びをしたらいいか!」

「ヴィヴィアン様⁉」


 驚きに目を見開くエレン様を前に、わたしは勢いよく頭を下げた。


「娘のわたしが言うのもなんだけど、お父様ってめちゃくちゃ親バカで……エレン様と結婚ができたら、わたしが喜ぶと思っていたみたいなんです。だけどわたしは……」

「お待ち下さい、ヴィヴィアン様。まずは頭を上げて」

「でも……」


 気がついたらエレン様はわたしの隣に移動していた。それから、わたしの頭を上げさせると、じっとこちらを覗き込んでくる。