「な……な、な…………」

「これが返事じゃダメですか?」


 散々口づけを味わったあと、茹でダコのように真っ赤に染まったヴィヴィアン様の頬を撫でれば、彼女はギュッと目をつぶる。


「もう一度?」


 その反応があまりにも可愛くて、揶揄するように口にすれば、ヴィヴィアン様は恥ずかしそうに目を見開く。


(ああ、困っていらっしゃるんだろうなぁ)


 ヴィヴィアン様を喜ばせたい――――そう思うのと同じぐらい、ヴィヴィアン様を困らせたい――――俺に夢中になってほしい。
 ずっとずっと、俺だけを推してもらえるように。
 これからもずっと、俺との結婚を望んでもらえるように。


「ちがっ……。――――ううん、やっぱり違わない」


 それはあまりにも予想外の返答だった。嬉しくて、嬉しくて、俺は思わずお腹を抱えて笑ってしまう。


「俺、ヴィヴィアン様には一生、敵いそうにありません」


 喜びを、幸せを、二人触れ合って確かめ合う。


「愛してますよ」

「……! 〜〜〜〜〜〜〜〜!」


 耳元でそっと囁いたら、ヴィヴィアン様は声にならない叫び声を上げる。その様子があまりにも可愛くて、俺は満面の笑みを浮かべるのだった。