俺が登城できたのは、異種武闘大会から三日後のことだった。


「ご報告が遅くなって申し訳ございませんでした、陛下」

「いや――――ご苦労だったな、エレン」


 大会の最中、大胆にも陛下とヴィヴィアン様を狙った反勢力を他の魔術師たちとともに追跡し、アジトを突き止め、駆逐し終えたのが昨日のこと。想像よりも規模が大きく、多くの時間を要してしまった。

 とはいえ、おそらくこれは氷山の一角だろう。この他にも反帝政主義者が帝国のあらゆる場所に潜んでいるのかもしれない。俺は身の引き締まるような心地がした。


「大会の優勝者はジーンとしたよ。おまえは途中で戦うことをやめてしまったからな。あの状態でおまえを優勝者とコールするわけにはいかなかった」

「……構いません。ジーン本人にもそのように伝えました。一刻を争う状態でしたし、事情を話して会場を混乱させるわけにはいきませんから」


 申し訳なさそうな表情の陛下に向かって俺は微笑む。
 陛下はそっと眉根を下げつつ、小さく息をついた。