「……基本素直なくせに、妙なところで意地っ張りで。今回だってそうだ! 変なこだわりを持ったばかりに。あいつ、本当は……本当は、エレン様のことが大好きなのに」

「知っています。けれど、俺はそんなヴィヴィアン様を……そんなヴィヴィアン様だから好きになったんです」

 
 杖でライナス様の攻撃を受けとめながら俺はうなずく。それから、魔力を込め、彼の木刀をへし折った。

 ライナス様が息を呑み、それから泣きそうな表情で微笑む。それから、俺に向かって大きく頭を下げた。


「ヴィヴィアンのこと――――よろしくお願いします」


 傍から見れば、試合終了の挨拶のように見えるだろう。次いで、ライナス様から手が差し出され俺はそれを握り返した。