わたしったら、御本人を前になにを解説してるんだろう? 恥ずかしさのあまり赤面していたら、エレン様はくすりと小さく笑った。


「それで構いませんよ。また新しいドレスを贈りますから」

「いや、それはさすがに……」

「贈らせてください。俺たちは婚約するのですから」


 わたしの腰を抱き寄せ、エレン様が微笑む。ブワッと全身の血が沸騰して、心臓がありえないほどに激しく鼓動を刻みはじめた。


(婚約……わたしたちが婚約……? 本当に?)


 どうしよう。ありえないって思っているのに、それ以外の感情が見え隠れする。
 ダメなのに。
 エレン様の相手がわたしじゃ絶対ダメなのに。


「ヴィヴィアン様」


 ふと見たら、エレン様がわたしのことを熱心に見つめていた。
 戸惑うやら、嬉しいやら。頭のなかが大パニックだ。


(本当、どうしたらいいんだろう?)


 心のなかで、わたしは盛大なため息をついたのだった。