「元々そういう約束……そのための大会だもの」


 この大会でわたしの配偶者に相応しい強い男性を見出す。主観ではなく、誰の目にも明らかで、文句のつけようのない方法で一番強い男性を決めるのがこの大会の目的だ。

 それは元々、わたしがエレン様と結婚を回避するための方策の一つだったわけだけど、こうして名乗りを上げる男性がいる以上、皇女として応えるのは当然だ。エレン様だってそんなことは理解していらっしゃる。


『いいんです。俺、負けませんから。絶対、誰にも負けませんから。大会で一番になって、実力は本物だったんだって――――皇女ヴィヴィアン様に相応しい男だと自分自身で示します。そうしたいんです』


(エレン様……)


 闘技場でライナスと向かい合っているエレン様を見つめれば、彼はわたしを見上げながら、とても穏やかに目を細める。

 大丈夫だって――――負けないって、そう言われている気がした。