以降も順調に試合は進んでいった。
 ライナスがエイジャックスを破り、エレン様が若手騎士を撃破する。これにより、今大会のベスト4が出揃った。


(騎士が3人に、魔術師が1人か……)


 おそらく魔術師は魔力や技の制限があって、戦い辛いっていう事情もあるんだろうけど、思っていたよりも騎士の割合が高い。エレン様には若干不利な状況になってしまった。だって、騎士同士は互いの力量をある程度把握しているし、戦いやすくもあるから。


「これは――――意外だったな。番狂わせが起きそうだ」


 お父様が呟く。準決勝の最初の試合――――ジーンの対戦のことだ。

 相手はお父様が最近引き立てた護衛の一人で、若手のホープと謳われる騎士だ。事前情報では、騎士のなかで彼より強い男性はいないっていう話だったけど、見る限りジーンが圧している。これはわたしにも予想外だった。


「本当。これは、もしかしたらもしかするかも……ジーンったら、すごい気迫ね」


 激しい鍔競り合い、これまで騎士と魔術師の試合が続いていたこともあって、ものすごく新鮮だし胸が躍る。瞬きをするほんの一瞬の間に勝負が決してしまいそうで、まったく息をつく暇がない。