「これなら、引き続き安心しておまえの護衛を任せられるな」


 お父様がジーンに向かって拍手をする。わたしも一緒になって手を叩いた。


「でしょでしょ? 物理攻撃にも魔法にも強い従者って貴重よね! だけど、ジーンもそろそろ領地に戻る頃合いだろうからさ、ちょっと寂しいのよね。早く後任を見つけないと……」


 本音を言えばジーンにはずっとわたしの側にいてほしい。彼はわたしの――――推し活の大事な理解者だもの。

 だけど、我が帝国のベスト4は伊達じゃない。大きな結果を残したってことで胸を張って領地に帰れる。領主になるならこのタイミングがベストだろう。


「いや。あいつは領主の座を弟に譲るつもりだと言っていたぞ?」

「え? そうなの?」

「ああ。これからもおまえの側にいたいから、と」


 お父様の言葉に息を呑む。
 ジーンったら、わたしにはそんなこと言ってなかった。手柄を立てたいのは、領民たちのためだとばかり思っていたのに。