「実はその髪飾り、俺からの贈りものなんです」

「え⁉」


 そんな馬鹿な。
 わたしは目を丸くしつつ、エレン様のことをじっと見上げた。


「ヴィヴィアン様はアメジストが好きだと聞き、選んでみました。今夜身につけていただけて、とても光栄です」

「え……ええ。仰るとおり、わたしはアメジストが好きです。他のどの宝石よりも」


 だけどそれは、エレン様のトレードマークがアメジストのピアスだからだ。数ある贈りもののなかからこの髪飾りを選んだのだって、エレン様が身につけているものと形とか雰囲気が似ていたからだもの。


「それから今お召になっているドレスも、俺からの贈りものです」

「これもですか⁉」


 嘘、嘘、嘘! それはさすがにまさかすぎる!

 だって、わたしの誕生日祝いのほとんどが宝石やドレスで、帝国全土から山ほど届いてるんだもの。
 というのも、わたしへのプレゼントは服飾品が喜ばれると貴族たちに知らしめているのがその理由だ。(だって、自分で自由に使える予算の大半を推し活に費やしているんだもの!)