「先輩、皇族は神の化身だって噂には聞いてましたけど、あながち間違いじゃないのかもしれませんね。あれでまだ14歳ですか」


 にじみ出る覇気が、オーラが明らかに常人のそれとは違っている。けれど、俺の言葉に、先輩はなぜかクックッと喉を鳴らして笑った。


「そう見えるならよかったよ。皇女様もさぞお喜びになるだろうさ」

「……? どういう意味です?」


 今俺が見ているヴィヴィアン様は、間違いなくヴィヴィアン様そのものだろうに。先輩は問いかけには答えず、黙ってヴィヴィアン様を見つめていた。


 ヴィヴィアン様はそのまま領主との昼食会をこなし、午後には街の視察に出かけた。領民たちの声援一つ一つに丁寧に答え、彼らの話を熱心に話を聞き、ときに買い物をしながら街を歩く。
 特産品である絹や陶器、果物や花まで、ありとあらゆるものに目を留め、賛辞を述べ、彼らの苦労を大いにねぎらう。

 ヴィヴィアン様に声をかけてもらった人々はみな、とても嬉しそうにしていた。当然だろう。はたから見ている俺まで、どこか誇らしい気持ちになれたのだから。